「少女は存う」

何度口にしても許される。

何度口にしても足りない。

愛をかたる言葉の何と浅いこと、狡いこと。

正しい。

正しくない。

物差しが壊れているとも知らず、

だれかが少女を傷つけるのです。

無垢であったことが悪いだとか、

無知であることが悪いのだとか、

その誰かはそう云うのでしょう。

少女の在り方は少女が決めるのですから、

少女が耳をかすことはありません。

けれど、少女は知るべきでありました。

いいえ、少女は知らなければならなかったのでしょう。

少女が大人になるようにきっと、

少女の命は短く儚いのでしょう。

少女がキスを覚えたならもっと、

少女の血は流れていくでしょう。

少女が強く強く願うほどずっと、

少女の涙は止まらないでしょう。

教えてくれなかったと嘆くのは間違いなのでしょうか。


「彼は消えた」

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